心の病が治る、ということ 「セラピスト」最相葉月を読んでみた

セラピスト

セラピスト

ある読書会の課題図書でこの本を読んだ。

精神疾患になる、そしてそれが治癒するってどういうことなんだろう、
と思いながら頁をめくっていった。

しかし精神疾患の治療の歴史と、箱庭療法、絵画療法が順番に説明されるだけで
なかなか「治癒すること」の本質が見えてこない。

そうするうちに時代の変化につれ、精神疾患の現れ方や治療も変わって来たこと
いまは行動療法中心であることが語られる。

そして最終的には著者自身が病だった、という形で話が収束される。

8人ほどで話しながら、ほぼ全員が「2/3ほど読んだところで、読み進めなくなった」
と言った。

著者自身が、書いていくうちに目的を見失ってしまったような気がする。

心、という目に見えないものが病む、ということは本当に捉えどころが無い。
病む人自身が自己治癒する過程を、セラピストと共有することが治療そのものになる。


どんな人でも心が病気になる可能性がある。
だからその治癒過程を理解したかった。

でもそんな風に簡単に原因と結果の因果関係がわかるほど、
心もその病も単純なものではない、ということを知った本書であった。