正しい時間の使い方 ー映画「エンディングノート」ー

孫と遊ぶ。(あごで使われる感じがたまらない。)
自民党以外に投票してみる。
葬儀の会場を下見する。
連絡先のリストを作る。
妻に(初めて)愛していると言う。
孫ともう一度会う。

正しい時間の使い方。

人生ではじめて出会う男性である「父」に対する娘の視点というのは冷静で
批判的なところと愛情の両面があって
カメラを向ける対象との距離感として適切さを感じる。
(孫に適当に返した返事に対し「今の質問聞いていましたか。」とつっこむ。)
カメラをはさんだ、暖かさとクールさ。
カメラという批評的な視線に冗談で返す父。

世の中には悲惨な死に方もたくさんあるし、
ガンに罹患した人も皆が、こんなに家族と暖かい愛情を交わして
亡くなるばかりではないだろう。
寂しく一人亡くなるひともいっぱいいる。
この映画が観る者を泣かせるのは、
この家族が父との別れをおもって泣くからだ。
家族が泣くから観客がその強い感情に共感する。

それにしても孫というのはなんと絶大な力をもつ存在か。
人生の最終の時間帯における最高に素敵な贈り物。

被災地でもそうだが、生命の危機に際し子供の存在ほど力づけられるものはない。
子供は生きているだけで価値がある。
被災地や死に至る病を得たときの、子供の存在の貴重さにしばし驚嘆。