金魚鉢


従事しているのが100%法人対象の業種なので、仕事柄多くの企業に伺います。
役員の方にお会いしてプレゼンしたり
プロジェクトのご報告をすることも多いのですが、
日本を代表する企業のトップレベルの方は素晴らしい人格及び能力の方ばかりです。

とにかく皆さん、
 1.意思決定が早い
 2.問題の本質を見据えて解決策を検討する
 3.実現に向けて無駄な軋轢を避けるべく、迅速にことを進める技術を有している
 4.自社、他社、役職等に関係なく感じよくコミュニケーションする人間力がある
といった能力/人格の持ち主で、お会いするたびに感動します。
最近ニュースで話題になる企業の経営者とはえらい違い。
(そして駄目駄目な会社の場合、上記4項目が全て逆のパターンになります。)

いつも疑問に思います。
こうした方々は若いころからずば抜けた能力の持ち主だったのだろうかと。
そうかもしれないし、必ずしも20代30代の頃は組織の中で目立たなかったかもしれない。

こうした方々の共通項として、地下深いトンネルやエネルギープラントといった
「大きなものを作って来た」という点があるのですが、
製造系だけでなく商社マンの方もいらっしゃいます。
いずれも大きな工事やプロジェクトの中で、必ず発生するトラブルや事故等、
絶体絶命と思うような難局を切り抜け前に進むことで
ご自分を育てて来られたのではないかと拝察しています。

仕事の大小に関わらず問題は必ず発生します。
私が携わる程度の仕事ですらそうです。
その時、無理だ・出来ない・止めようと思うか
なんとかぎりぎりの解決策を見出して前に進んできたかが
人を育てるターニングポイントになるのでしょう。
その問題が大きいほど、得られる解決能力も大きくなります。

その昔同僚に、
「夜店で買った金魚は、育っても大きな水槽に移し替えてはいけない」
という話を聞いたことがあります。
大きな容器に移すと器に合わせてどんどん大きくなってしまうからだそうです。
この話の真偽のほどはわからないのですが優れた経営層の方にお会いするたび、
「大きな金魚鉢」で仕事をしてきたんだ、と感じます。
若いころから大きな目標をターゲットにした仕事をしてきたことによる、
スキルの蓄積と人格形成。

しかし、大企業は確かに規模の大きな仕事に関与する機会が多いと思いますが、
大企業ほど縦割り細分化した組織体制の中で、役所みたいな体質になるのも
事実です。
ソニーがアップルに負けたのも事業別採算性による組織運営によるものだと
ジョブズの伝記にありました。

就職活動中のみなさんへ。
会社の規模とかネームバリューとかを要因に会社選びをするのではなく
「その会社の事業や組織運営には、
自分のビジネススキルを大きく伸ばしていける機会があるか」
で企業を見る目を持った方が良いです。(難しいことですが)

ビジネスマンとして価値の高い人間になろうとするのであれば
「大きな金魚鉢」を探した方がよろしいのではないかと思います。