「断捨離」と「カンバン方式」見直しについて

●加速する断捨離ブーム

相変わらずすごいブームですね、「断捨離」。
どんどん触手を伸ばしてビジネスとしても加速して、
需要と供給ががっちり結びついている勢いを感じます。

物を所有することがステイタスではなく
足かせになっている、ということに多くの人が
気づいたということでしょうか。

「断捨離」という考えの本質と
最近の提供者側の「何でも商品化」という方向性は相反する気がしますが
関係者が増えてくれば仕方ないのでしょう。

ともかく、持つことより持たない自由に価値を感じる人が
増えているのは間違いなさそうです。

●「カンバン方式」の見直し

2月10日の産経新聞の一面にかなり大きく
トヨタ自動車カンバン方式を見直しへ」
という記事が載っていました。

東日本大震災とタイの洪水被害でサプライチェーンが寸断し
生産が一時停止し出荷できなくなった事態への反省として
カンバン方式」を見直し、一定量の在庫を持つことにしたそうです。
その結果1〜2割コストアップし、販売価格に反映されるとのこと。

ビジネスパーソンであればご存じの方が大半ですが
カンバン方式」は最小の在庫で最短でサプライチェーンが廻る仕組みとして
トヨタ自動車が考案した方法です。
自動車業界だけでなく、他の製造業も同質のものづくりによって
生産しているのが現状です。

結果、コストを抑え価格競争力を増大したわけですが
東日本大震災とタイの洪水が「ほとんど在庫をもたない」
というこの仕組みの弱点を直撃し、
この年度の製造業各社の業績悪化における大きな要因となりました。

そんなわけで、トヨタはじめこのカンバン方式の見直しを
しているというわけです。

●カセットコンロを買ったわけ

先日、カセットコンロを買いました。
平日1人暮らしの私は、カセットコンロを使って料理することはありません。
なべ料理もガスレンジです。
ではなぜ買ったかと言えば、電気/ガスが止まったときのためです。

端的な話としては、いつ来てもおかしくないと言われる震災への対応です。
しかし、別に地震じゃなくても
他の災害や事故でライフラインが止まるということはあり得ます。
そのとき、3日位食べられる程度の非常食とミネラルウォータと
カセットコンロがあれば生活可能だからです。

以前はカンバン方式と同じで、
調味料以外は1週間で食べきり分しか食品を買わなかったのですが
最近はインスタントラーメンとかコーンフレークとか
自然解凍可能な冷凍食品などを少し持って置くようにしています。
震災時の経験からです。


●状況が変われば必要な考え方も変わる

トヨタ自動車の関連部品大手会長も
トヨタカンバン方式を見直す日がくるとは」と衝撃を語っています。
世界に冠たる日本最大の企業でも、
事態が変わればその方法論を根本から見直さなければならない。

「断捨離」は今の自分に必要なもの以外はもたない、
という「個人生活におけるカンバン方式」ですが
そこにはある種のリスクもあります。

「いつか使うかもしれない」と
無用に多くのモノを抱え込むこととの線引は難しいですが
リスク管理という観点をもたないことはよくないな、と思うのです。

(もちろん、多く持ちすぎることもリスクだし、
特に防災の点からはたくさんの家具やモノをむき出しに置いておくのは
より危険ですが)

被災地から遠いとなかなか危機感を感じないかもしれません。
しかし、一つの観点からだけで物事を判断するのではなく
自分たちが
・どんな土壌の上で生活していて
・どんなリスクを持っているか
という事をベースに、常に考え方を見直す必要があると思うのです。