堀江貴文「刑務所なう。」の面白さをいくつか。

刑務所なう。

刑務所なう。

まだ読み終わっていないんです、この本。
でもあんまりおもしろいので、紹介したくて。
まだ堀江貴文氏の著作を読んだことのない方にも、超お勧めです。
何が面白いかと言うと・・・

●長野刑務所の充実した食生活

毎食のメニューが記述されているのですが
そのおいしそうで栄養バランスのとれたメニューには驚き。

しかも堀江氏が「さすが、官は季節感に敏感」という位、
土用の丑の日にはうな丼が出たり、秋には栗ごはん、
祝日にはおかしや特別食が出る。
誕生月にはお菓子付きの映画鑑賞会。

堀江氏が絶賛する「メンチカツ」。
カリッと揚げたてで中はジューシー、読んでいるだけで
食べたくなりそうです。

家庭内別居している知人男性の貧しい食生活と比較すると
はるかに充実した食事。

健康的なお献立の数々は、「タニタの社員食堂」より参考になるかも。
(しかも一食あたり300円程度だという・・素晴らしい。)

●時事ネタ評論のすばらしさ

ツイッターでフォローしている方はご存じと思いますが
スタッフを通じてその時々の時局や事件についての所感が発信されており、
それが本書ではまとめて読めます。
以下一部抜粋。

・「ネットの新動向6つのキーワード・・・
  アクセス 所有からアクセスへの行動の変化。
  生成 世界最大のコピー機であるインターネットにおいて、
  価値をどう作り上げれば良いのか。」

・「日本の地位が相対的に低下している。
  日本の必要性やこれまでの経済体制は時代遅れとなっているが、
  財界や政界は古い体質のままである。

・「ネット上の決済時よりも、モラルの低い従業員にカードを渡す方が
  明らかにセキュリティレベルが低い。」

・「アナログ放送の停止自体は賛成だ。限られた電波帯域を有効利用できるから。
  しかし、訳のわからないマルチメディア、モバイル放送に割り当てるのではなく
  ブロードバンド接続に割り当てるべきだろう。」

・「TVの利権の全てはリモコンにある。Kinectなどの技術が普及して
  リモコンが無くなった日が既存放送テレビの終わりの日かも。」

・「上場してるんだから、誰に買われようが仕方ないんじゃない。
  しかしTV局といい、官製の買収防衛策とか、
  やりたい放題の無法者にブレーキをかける政治家とかいないのかね。」

・「高コストの日本企業が今さら白物家電なんかやらずに」

・「アップルは外部ストアからのリンクを禁止するらしい。
  あんまり強欲になると、思ってもみないところから攻撃されてしまうことになるので
  注意が必要だと思うのだが・・。」

・「フジテレビのバラエティ番組はヤバイ位にくだらなすぎる。」

・「今後、ゲーム機とスマホの両方を持ち歩くのは余程のゲーム好きだけだろうな。」

・「航空事業なんぞ、世界的な世界的なパイロットのだぶつきやオープンスカイの波で
  タクシー事業と同じ、利幅の少ない事業」

・「未だにグーグルの稼ぎは広告一本に偏っている。
  それこそがグーグル最大の弱点である。
  そしてソーシャル時代になり、ライバルに虎の子の広告事業を侵されつつある。」

いずれも、収監されたばかりの2011年前半のつぶやきです。
堀江氏の慧眼さと経営的視点が伝わってきます。

●検察の志向と有罪判決について

自身の裁判や判決についての思いも時折語られています。
注目すべきは「検察は費用対効果を最も重要な判断基準とする」という話。
有罪判決を下せそうで、その社会的影響が大きい事案に食いつくのだとか。
堀江氏は、本当に有罪・実刑に相当する犯罪者なのか。

本書を読んでいくと起訴の経緯と、
誰が有罪にしたかったのかという点についての疑問がわいてきます。
有罪に値するから有罪判決になる、のではなく
有罪にしたいから有罪判決、という図式です。

ベンチャービジネスの経営者や、
急に現れて派手に稼いでいる(ように見える)人は
社会的関心や嫉妬の対象として、
起訴+有罪にすると存在感や影響力が増す、と検察は思ってるみたいですね。

昨今の捜査の不備の数々によってすっかり信用を失い
他にも一杯間違いがあったんじゃないの、と思わせてしまうその背景には、
こうした検察の志向が見てとれます。

マスコミの報道も検察の動きも、うのみにしないリテラシーがないと、
自分も間違った軽々な判断をしてしまうなぁ、と思います。

つい見てしまう電車の中つりの「週刊○○」の見出しとかも
事実関係のいい加減なものが多いので気をつけないと。

●まんがつきで1000円というお値打ち価格

食事、時事ネタ、日本の検察制度について以外にも、
刑務所内の様々な生活規則や行事など物珍しい話題(そりゃそうだ)満載で
1000円は、とってもお得だと思いますよ。