結局最後に残るもの 映画「ウォール・ストリート」

舞台はサブプライムローン破綻後のアメリカ。
インサイダー取引で有罪となり服役してきた投資家ゲッコー(マイケル・ダグラス)の才能に
危険を感じながらも感化されていく、
ゲッコーの娘の婚約者で投資銀行のディーラー(シャイア・ラブーフ)。

結局、ゲッコーに利用され裏切られるわけだが、
「あなたは金持ちにはなれる。しかし幸せにはなれない。」
と言い放つ。

住宅ローンで稼いだツケを税金で払わせたアメリカの投資銀行
かつてのオランダのチューリップバブル
そこに何かの実体はあったのか。
誰か幸福になった人はいたのか。

「お金」という存在がどんどん抽象化されていく中で、
現実と乖離したところで数字が増えたり減ったりしているだけだ。

銀行口座にどんな数字があっても、現実はたいして変わらない。
経済活動が進むほど、お金はどんどん抽象的な存在になっていく。

お金ってなんだろう。
お金は幸福のKPIになりうるのか。

抽象化したお金の嵩を追求していった結果、
結局最後に残った価値が「人とのつながり」とは、皮肉なもの。

最後に残るのは人間関係だけだ。
家族。友人。

お金がたくさんあっても誰とも信頼関係を結べない人生。
愛情を持ち得ない人生。

そんな対比を鮮やかにみせてくれる映画だった。