キャッチャーというポジションの特殊さについて 「キャッチャーという人生」赤坂英一

キャッチャーという人生

キャッチャーという人生

今年のクライマックスシリーズ@セ・リーグ
おおかたの予想を裏切って中日が三連勝、日本シリーズ進出に大手をかけた。

その後巨人が連勝して結局日本一になったわけだが、
なぜ圧倒的な戦力を誇る巨人が中日に連敗したのか。
しかも中日は吉見、ソトら投手をケガで欠いていながら。

日本シリーズ後、本書を読んでいてよくわかった。
谷繁にやられたのだ。

12球団中、現役でもっとも優れたキャッチャーは谷繁だ。
指導した権藤投手コーチ(当時)ですら、今の彼のリードは理解できないという。
野村克也氏は裏の裏をかく彼の配球を「続きの谷繁」と呼んでいた。

投手も野手も基本的には自分の仕事だけ考えていれば良い。
しかしキャッチャーだけは違う。
相手チームとバッターの動きを読み、
チーム全体の動きをコントロールし、
投手に指示を出すという意思決定とマネジメントを瞬時瞬時に行っているのだ。

今まで単純に勝っているか、負けているか
味方が打ちそうか、相手を押さえられそうか、
といった試合の見方だったのがキャッチャーを視点にみると
また違った面白さになる。

そしてとにかく本書を読んでいる間ずっーと感じていたのは
自分の仕事との共通性なのだ。

「相手の意向を読む」「実行する」「結果が出る」
「修正する」「次に活かす」この繰り返し。

日々蓄積される試行錯誤と結果が自分の頭の中にデータベースとなっていく。
そのデータベースに照らし合わせて、次はどうしようかと考え
一つ一つ意思決定していく。

形式知に出来ない部分も多く
結局ひとについている仕事という反省もあるが、しかたない。
教えられることと教えられないこと、
言葉で伝えられることと伝えられないことがあるのだ。

ビジネス書、コーチングに関する書と読んでも、
考えさせられる部分の多い一冊であった。

akasakacycle – 赤坂英一(あかさか・えいいち)のお仕事と日々のこと
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