まーくん。ピンポン。あまちゃん。に見る二人の運命の逆転劇

2006年夏。甲子園の勝者は斎藤君だった。
決勝引き分け再試合を制したマウンド上のエースは、
人生の勝者に見えた。
最後の打席で三振を喫した田中投手は、さわやかな笑顔で
準優勝チームの選手の列に並んだ。

あれから7年後の夏。
それぞれプロ野球の選手となった2人だが
プロとしての成績は、高校時代とは対照的になった。

田中投手はプロ野球新記録となる16連勝をあげ、
斎藤選手はケガからの復帰戦となる2軍の試合で
7失点という結果に終わった。

互いに切磋琢磨するライバルがいて
力を磨き、観客を魅了する名試合が成立する。

そのとき、一旦は着いたかにみえた力の勝負が
時として逆転するのは、皮肉なものだ。

ピンポン (1) (Big spirits comics special)

ピンポン (1) (Big spirits comics special)

映画にもなった松本大洋の「ピンポン」にも
宿命のライバルが登場する。

幼馴染の星野裕(ペコ)と月本誠(スマイル)。
幼いころから卓球の才能を誇るペコと、
いじめられっ子でペコに守られてきてたスマイル。

そのスマイルがちょっとしたきっかけで卓球を始め
才能を伸ばしていく。
仲の良かった二人の関係が卓球の才能の逆転によって
思いがけない変化に晒される。
自分が守る側だと思っていたペコが、スマイルの卓球の才能に
追い詰められていくのだ。

あまちゃん」の主人公2人も
運命の逆転に晒される。
素朴でひっぱられる側だった「アキ」が東京にでてアイドルを目指し
自他共に可愛さを認める、上昇志向の強かった「ユイ」が
父の病気と母の失踪で三陸に留まり、海女になることを選択する。

運命の二人がその後どんな人生を歩むのか。
三者からみるとドラマティックなストーリーにしか感じられない。

しかし当人たちにとっては、
それだけ存在感の大きい、自分の人生に影響する他者がいる、
ということは限りなく豊かな人生の源泉になることだと思う。

他人がどちらが勝った負けたと、
とやかく云う事ではないのだろう。