私達は何でもすぐ忘れてしまう ー「たった一度の人生を記録しなさい」ー

たった一度の人生を記録しなさい  自分を整理・再発見するライフログ入門

たった一度の人生を記録しなさい 自分を整理・再発見するライフログ入門

イチゴ畑で、イチゴをもつ2才の甥。
川に渡したたくさんのこいのぼりやはじめて見た巨大なマンボウ
をみて五歳の姪が描いた絵。

水族館で飛び跳ねた巨大なピラルクーをみて彼らが動かなかったこと。
お小遣いでおじいちゃんに缶ビールをかってあげたこと(お礼に500円もらった)

ハードな試験に受かってすごく嬉しかったこと、
困難極めた大きな案件を無事終えて、仕事仲間と喜びあったこと。

母親が倒れて心配したこと、医師との緊迫したやりとり
もっと優しくすればよかったという後悔。

うちに来た無邪気な子猫の存在にそのころの頑なだった感情が
解けて流れ出したこと。
構えることも用心することも無くいつでも無防備に向き合える
最高に愛らしい存在と共に過ごす時間の限りがある悲しさ。

人の力を超える巨大な災害に襲われたこと。

可愛かったこと、
面白い会話、
嬉しかったこと、
泣きたいほど心配したこと、
言葉を尽くしても尽くしきれない悲しみ。
時間と共にどんどん私たちは忘れてしまう。

感情だけは私たちの奥深くに残って、
その後の考えや行動を既定していったりしますが
そのきっかけである出来事ややりとりのほとんどは忘れてしまいます。

本書はそうした日々の出来事を、ちょっとしたきっかけを使って
記録していこうとすすめるものです。
きっかけは食べ物だったり、出先の写真だったり、ツイッターであったり。
記録する先はスマートフォンタブレットevernoteを組み合わせて
どこでもいつでも簡単に残しておく。
そして時折見返し、過去の行動からなんらかの気づきを得る、という具合。

でも別に賢くなるためとか、ビジネススキルをあげるとか
そんなさもしい目的では全然無くて、大切な時間を思い出せるように
デジタル情報で保存しておこうとするもの。

細胞は日々入れ替わるし、記憶は消去されていくし
今の自分と10年前の自分は同じ人間とはいえないくらい違うはず。
でも何かが残っていて、それが自分という一貫性を保っている。

そうした一個の人間に起こる日々のいろんな出来事を、
脳内ではなく、記録の外部化をして容易に再閲覧出来るようにしておくのは
「たった一度の人生」において大切で有効な習慣であると
本書に強く共感します。