究極の成果主義 -選手ではなく勝利を買え-「マネーボール」
公開終了間際に駆け込んで観ました。
「マネーボール」
資金力の乏しいアスレチックスがヤンキースやレッドソックスといった
強豪の金持ち球団に勝てるチームを年棒の低い選手たちでつくり上げていく過程を描き
そのGM役をブラッド・ピットが演じています。
成熟したビジネスの世界で、市場のあらかたは既存勢力におさえられています。
参入障壁の低い領域でも、容易ではない領域でも
結局は資金力やビッグネームにシェアを持っていかれることも多い。
企業間だけの話でなく、会社の中でも同様です。
常に限られた優秀なリソースを、自分にとってより有利なように
声の大きい人がとっていく。
のちに補佐となる、野球経験のないイエール大学経済学部卒のアシスタントは
GMに向かって言います。
「野球で何を把握すべきか理解していない人が多い」、
「金で選手を買おうとしているだけだが、しかし勝利こそを買うべきだ」
そして容姿や打率、定性的な印象評価で選手を獲得していくのをやめ
出塁率を軸に安くてお得な選手を戦力としていきます。
選手を育成しては資金力の高いチームに持っていかれる球団が
強いームに勝つ方法を生み出すプロセスが淡々と描かれていますが、
それは従来の野球の戦い方や考え方、選手の評価を覆すものでした。
そのために、スカウトやマスコミ、野球関係者からおおいに叩かれます。
そして勝てば称賛され、負けるとやっぱり間違っていると批判されます。
この映画を見ていて感じたのは
「少ないリソースでも勝つことが出来る」
「そのためには今までのやり方を捨てるしかない」
「自分達で培ってきた仕事のやり方は自分達では壊せない」
少ない資源でどう戦うか。
やり方を変える。考え方を変える。
現実を定量的にみる。
自分自身、小さなチームのマネジメントに関わる身として
胸がざわざわするような、しめつけられるような映画でした。
ビジネスパーソンに、お勧めします。