まがりかど

昨年末、Chikirinさん@紀伊国屋ホールの講演を聴きにいきました。
とても面白くて参考になった点多々だったのですが
なかでも組織形成の変化とSNSの影響についての話が印象的でした。
従来の組織形態がひとつの目的に向かって
皆が同じ行動様式で動くことを要求するピラミッド型だったのに対し、
成熟し要求要件が多様化した現在は、
任意にテーマ別に構成されていくコミュニティ(組織)のほうが
有効だったり力を発揮し、豊かな活動や成果をもたらす、
そしてSNSによって形成されるのは後者である、といったものです。
(私の個人的な解釈が多分に入っています)

●2つのチーム

ここ一年の間にチームビルディングされた、印象的かつ代表的な組織があります。
ひとつは橋下大阪市長のチーム。
ひとつは「ふんばろう東日本復興プロジェクト」です。
どちらも一つのテーマに向けて必要なリソースが自発的に集まる
又はピックアップされ形成したチームです。

●橋下大阪市長のチーム

大阪市の公的サービスを再構築し成長戦略に向かうためには
まず行政の組織構造こそ変えなくてはならない、
そのための改革エンジンとなる人材であり
中田前横浜市長、古賀茂明元経済産業省らを集めたチームです。

以前からのブレーンである堺谷太一氏や
ヘッドハントされたというよりは、自らのテーマの一環として
独立的に無償で支援している藤原和博氏(前杉並区立和田中学校長)
のような方も大阪市大阪府の改革を後押しします。

西條剛央さんのチーム、ふんばろう東日本復興プロジェクト

震災直後に西條さんとツイッターを媒介として形成された
「ふんばろう東日本復興プロジェクト」。
結果的に、ということになるのだと思いますが
中央集権的/ピラミッド型の指揮命令系統のスピードの遅さ
非現場主義的な決定・判断を補完した支援を実現する、
極めて即応力の高いチームとなりました。

それぞれ違うスキルや経験知を持つ人たちが支援を担い自発的に行動していく。
事務所や運営母体を専門にする人もない、全く自発的に生まれた組織が
こんなにスピーディに活躍するなんて隔世の感があります。

そしてそのチームを生み出すインフラとなったのがツイッター
SNSが人を動かしたのは「アラブの春」だけではありません。
まだまだ破壊と混乱の渦中にあるアラブ諸国に比べ
SNSがつなげた人々の活動が東北復興に果たす役割はとてつもなく建設的で
クリエイティブな性質をもっています。

SNSはこうしたチーム作りのための需要と供給をマッチングさせる機能を
これからも果たすでしょうし、そうしたできたチーム活動は
旧来の組織活動とは全く違ったパワーをもって少しずつ世界を変えていくのでしょう。

●組織の転換期

こうしたチームビルディングとその活躍を見るにつけ、
ピラミッド型の組織形態は平常時/右肩上がりの成長期には良いけれど、
現在のような混乱かつ変化の激しいときにはとても対応が間に合わないな・・と思います。

仕事も個人も、何かの組織やコミュニティに属してのものである以上
こうした変化の影響を受けないことはありえません。

従業員数万人といった規模の組織ほど、今は曲がり角にいるのだと感じます。
その曲がり角をちゃんと曲がれるか。難しいだろうな。
大企業の中にも既得権益構造に拠って生きている人が一杯いるし。

でもたぶん、
こうしてスピード早くテーマごとにぱっと組織形成できる企業が
生き残るんじゃないかと考えています。