道を知っていることの安全と自由
年明けから事業計画作りで他のことが手につかない中、
(でも本は電車の中で読める)
夢中になって、しかしあまりに面白くて読み進めない一冊。
(示唆と含蓄に富んだ内容なので、つい色々考えてしまう)
- 作者: 糸井重里&ほぼ日刊イトイ新聞
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/12/16
- メディア: 単行本
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本書で糸井重里さんと@ヤマト運輸社長、
@西條剛央さん(ふんばろう東日本支援プロジェクト)との
対談の中に共通する話があります。
被災地で勤務する一万人のヤマト運輸の社員のうち、
勤務中に亡くなったのが1名だった、
しかも同僚たちを逃がしてから避難したのにも関わらず、
それは、「道を知っていたからです。」(木川ヤマトホールディングス社長)
どこをどう逃げれば避難出来るか、どこに避難所があるか
普段から走り回って知っているから。
震災直後に被災地に入った西條さんが、
被害や支援の状況を把握するためにあちこち廻れたのは、
仙台ではく製屋やハンターをやっていたお父さんが
ナビゲイターで同行してくれた、つまり
「道を知っているんですよ、全部。」
橋が落ちていたなら別のルートでいく方法を知っているから。
「道を知っている」ことは
命の安全や、支援の需要と供給をマッチングさせるための
根本的な能力である、ということがよくわかります。
自分の頭の中に普段から「道やルートが入っている」ということが
とても大事なんだなあと思いました。
●道を知っていることの自由
地方から転勤してきた同僚の男性は、
奥さんが実家に帰省するとき、
必ず半休をとって東京駅に送っていきます。
東京駅内の地理や乗り換えが不安だからだそうです。
たしかに東京駅構内はずっーと耐震や再開発で工事をしていて
しょっちゅうレイアウトや通れる通路が変わったりしてわかりにくいですし、
出張先の関西での、土地勘の無さによる
乗り換えのわかりにくさは私も経験があります。
でも、ネットでも調べられるし駅で誰かに聞くこともできるし
表示も出ています。
他人の家庭内の事情は口を出すことではありませんが
いつも「いい大人だし、目も口もあるのに
なんで自力で新幹線くらい乗れないのかなー。
1人で行けない方がよっぽど不便じゃないのかなー」と感じます。
常に誰かに守って案内してもらえる人生、というのも
もちろんありだと思いますが
じぶんで好きな時に好きなところに行ける自由の方が
よっぽど楽で楽しいんじゃないかと思うのですが。
「できることをしよう」(@ほぼ日刊イトイ新聞)で、
道を知っていることがいざというとき生死を分けたり、
誰かを助けに行くことを可能にするという話を読んで
「道を知っている」ことの安全と自由を痛感したのでした。
平常時はあまり影響しないかもしれませんが、いざというとき
それはとてつもなく大きな情報格差じゃないかと思うのです。
さあ、来週は神戸に出張だ。