マリリン・モンローの孤独 ―30代、40代の女性に見て欲しい「マリリン7日間の恋」―

性別、年齢に関係なく、この世を生き抜くということは
誰でもプレッシャーを感じる大変な行為だ。
そして女性の場合、
誰かに依存して生きていくという選択肢がありそうなところが
混乱と迷いの原因になる。
とりわけ1920年代のアメリカに生まれた、
不幸な生い立ちをもつ美しい女性ならなおさらである。

誰もが持っている、孤独、不安、恐怖。

アメリカのマドンナ」と一般人を比較するのもおこがましいけれど
成人した女性なら誰しもこうした感情を
どこかに持ち続けているはず。

「みんな、マリリン・モンローという幻想に恋をして、
実物と向き合うと去っていく」
アーサー・ミラーとの結婚生活が始まって
すぐに暗礁に乗り上げそうな状況で、
自分を愛し支えてくれる誰かを求めて、マリリンがつぶやく。

共演するローレンス・オリヴィエが内心嫉妬するほどの
存在感と輝きをみせながら、
それでもマリリンの自分の能力への不安と
1人置きざりにされたらという恐怖は解消しない。

多大な人気と好感を集めてなお、というかより一層、
不安は増大していくのだ。

失ったものと得たものはいつも同量なのだろう。
だから自分が持っているものが増えた実感がない。

なんでも持っている。
何も持っていない。

働いて、収入があって、友人や恋人がいて。
いますぐ生活に困っているわけではない、
でも未来に対するこの不安。
女性なら誰しも「自分も同じ」と感じるのではないだろうか。

ミッシェル・ウィリアムズって、
モンローに似てないんじゃないかと最初は思った。
でもこの女優の達者な演技と、サイモン・カーティスの抑制した演出が
マリリン・モンローという一人の女性の孤独と不安を
正確に切り取って見せてくれた。

大人の女性に、ぜひ観て欲しい映画である。