九州から東京のビルの17階まで来たイモムシ
ある平日の午前中のことです。
部下に呼ばれて、打ち合わせコーナーで成果物のレビューをしました。
1時間弱位、話していたでしょうか。
終わって自分の席に戻った時、
机の上に何か茶色っぽい、1センチ位の細長い形状の物がありました。
机は真っ白で、今時のユニバーサルレイアウト仕様の一枚板です。
継ぎ目はありません。
さらに、当社は一応情報産業に位置するため、
クリアデスクが徹底されています。
机の上には、パソコンと電話、その時使用している書類、
カバン以外何も存在しません。
定期的に監査が来て、卓上カレンダーすら放置出来ないのです。
そしてここはビルの17階です。
外から何か入ってくる事もほぼあり得ません。
蚊だっていないのです。
だからその茶色のものが何なのか、わかりませんでした。
人はその状況の中で、あり得る選択肢から想定し、判断するものです。
ゴミ?かな、と最初思いましたが、
何というか生き物っぽい雰囲気がします。
でも、そんな事はありえません。
目を近づけてよーく見たとき、はっきりしました。
「イモムシ」でした。
ひゃっーと、叫びそうでした(涙)。
何度も自分の頭の中で否定しました。
こんなところにイモムシがいるはずが無い。
しかし、イモムシなのです。
ボールペンの先でつついたら、動きました😢
どこから来たのか。
見回すと、朝、出社後に出したお弁当と
食後に食べようと持ってきたぽんかんが、机上にありました。
そしてぽんかんには、イモムシが這い出した小さな穴が
開いていました。
女性社員が悲鳴を上げたりすると困るので、
黙ってティッシュにくるんで、ゴミ箱に行ってもらいました。
そのぽんかんは、前日自宅近くのスーパーで買ったもので
九州産でした。
イモムシは九州で生まれ育ち、ぽんかんに入って関東地方に来て
私のカバンで都内のビルの17階まではるばる運ばれたのでした。
長い道のりです。
イモムシ一匹の力では到底移動しきれない距離でしょう。
なんという、劇的な旅路でしょうか。
映画になりそうです。
しかし最期はあえなくゴミ箱へ。
申し訳ない。
次は生まれたところで生涯を全うして欲しいものです・・・。