緊急ではないが重要なこと ―若手を育てる / 新社会人のみなさんへ―
タイトルは人生のセルフマネジメントにおける大切な視点として
「7つの習慣」で有名なフレーズの1つです。
しかし、この言葉はパーソナルな側面に対してだけでなく、
組織活動においても、極めて的を得た教訓だと常々感じます。
プロフィットセンターの一員の場合、
どうしてもその月や四半期、期毎の業績が最優先課題&最関心事になりがちです。
私も日々の大半を、その時の業績を追いかけることに費やしてしまいます。
利益を生み出すことで存続する企業としては、
「緊急かつ重要」に分類される「予算達成」につい注力してしまう訳ですが
そうすると「緊急ではないが重要なこと」が後回しになりがちです。
そうした、組織における「緊急ではないが重要なこと」
それが「若手の育成」です。
毎年一定数の新卒採用者が入ってくるような
その企業にとっての大多数な職種の場合は
それほど苦労しないのかもしれません。
(その分辞めていく人も多かったりするわけですが)
しかし、私の所属するような小さなチーム、特殊かつ少人数の職種の場合
若手をもらってくるのも育てるのも一苦労です。
(しかも育つのに非常に時間がかかる)
2月初めの或る日、出張中の新幹線の中でふと思いました。
こんなことやっている場合じゃない、と。
最若手が30歳の私のチームでは、後進の育成は待ったなしです。
しかしなかなか要件が合わず、いつも話がまとまりませんでした。
常に育成対象を探していますが上手くいかないまま、
時間だけが過ぎて来ました。
もう待てない。
案件に入っている場合じゃない、しかも既に2月。
2月後半には来季の組織体制が決まってしまうので、
人を獲得するにはその前に動いておかないと、間に合わない。
それからすぐに
- 情報収集し、
- 人材の当たりをつけ
- 理論武装し
- 二つの事業部のトップに下交渉、あらかた話を方向づけたところで
- 上司から正式依頼をかけてもらいました。
それが2月末でしたが、回答は「もう決まっているから駄目」。
しかし諦めればそこで終わりです。
しつこく交渉し、
- 対象者を配置可能な根拠
- 再交渉に役員と私で一緒に行く
段取りをつけて、再びトライ。
そこでやっと、昨年入社して1年間教育を受けていた若者を獲得しました。
これが3月第1週で、本当にギリギリのタイミングでした。
育成本番はこれからです。
ものになる保証もありません。
人材育成は最も歩留まりの良くない仕事です。
すぐには結果が出ません。
でもやらなければいけない、「緊急ではないが重要なこと」なのです。
以前管理職研修で「管理職の仕事」とは
- 業績の確保
- 人材育成
だと言われました。
その頃、なーんにも考えていなかった私の頭に、この二つはしっかりと刷りこまれました。
企業ですから業績はもちろん重要ですが
組織の維持発展のためには若手の育成は重要な要件のトップに位置するはずです。
しかし高齢化やリストラによって、そうした人材の獲得はなかなか困難なのが現状です。
でもやらなければ自分達の部署の未来はないのです。
明日から4月。
新社会人があちこちで研修や配属先に散らばっていくのでしょう。
厳しい就職活動を経て、新社会人となった皆さん。
就職活動は大変だったでしょう。
これから仕事用に思考様式を作り直すことも本当に大変です。
しかし、そうした皆さんの背後で、
若い働き手が自分の組織に加わってくれることを心待ちにしている人間がいます。
皆さんの就職活動に比べれば大したことではありませんが
それでも多くの交渉と調整といった労の果てに皆さんを獲得した者もいるのです。
だから一緒に頑張りましょう。
新しいスキルを身につけるのは大変だけれど
ビジネスパーソンとして必ず役に立つスキルであることは保証します。
そして働き手として、市場価値のある人間になりましょう。
うちの部署の仕事は大変だけれど
ビジネスにおける根本的、汎用的なスキルだから覚えて損はありません。
新社会人の皆さん。
仕事は面白いです。得難い成長機会です。
一緒に頑張りましょう。