気仙沼行き -2- 東北で暮らすということ


行ってみて改めて感じたことですが
東北はきれいなところでした。

福島、宮城、東北自動車道を進むにつれ
北上している実感を春の進み具合によって感じます。

ちょうど緑が若葉で一番きれいで柔らかい時期。
たくさんの種類の緑色が混ざって、なんともいえないきれいさ。
緑が目に沁みる。
東北ってきれいなところなんだな-。

東京とは体感気温10度くらい差がある感じ。
行った時期はちょうど八重桜が咲いていて
田植えをしたばかりの田んぼの水が光を反射して光っている。

多くの漁業で生活しておられる方の家には非常に立派な神棚があって
日常生活では使わないそうです。
その神様に漁や作業の安全を祈って生活されている。
それだけ自然に敬意を払って生きているのになぜ、
という憤りが去来してしまいますが。

盛屋水産さんで伺ったのが、チリ地震津波で流されたカキ養殖のいかだを
借金してようやく直したところに3.11.が来た、という話。

生ガキ出荷用に加工する(60度で殺菌)海岸沿いの工場は津波で流され
私達が行った時はちょうど解体作業中でした。

「同じ場所に再建されるのですか?」聞いたところ、
かさ上げの有無が決まらない限り、再建できない。という答えでした。
とにかく行政のやることが遅い、遅すぎる、でも必ずおいしいカキを復活する。

盛屋水産の一代さん。
ご主人の合羽姿の格好よさにほれて嫁いで以来、
朝は2時に起きて6時までカキの加工作業をしていて、テレビも映画もほとんど見ない生活。
だから渡辺謙さんも、樋口可南子さんもあまり知らなかったと笑う。

家と仕事と事業が重なり合う、ハードな生活だと感じます。
事業である以上、収益の確保や銀行との資金交渉やら様々あるに違いなく
それは会社員である私の想像以上に大変なことのはず。
風光明媚さに酔ってだけはいられない。

が、しかし。
そうした現実を抱えながらも
一代さんの暮らす唐桑半島は海も山も本当にきれいなところだったのです。