父と一緒に、せっせと巨人戦に出かけるわけ
今年の巨人戦のオレンジユニフォームの日は
イープラスの先行発売に申し込んだけれど、
抽選が外れてチケットが取れなかった。
巨人戦のチケットをとるためだけに
ゴールドカードの会費を払っているのに、と
ぷんぷんしつつ、あきらめた。
去年行ったのはペナントレース終盤の、
もう優勝が決まった後の試合だったけれど
ユニフォームをもらって、父がすごく喜んだのだ。
来客や親類が来ると、
自慢そうにオレンジユニフォームを見せていた。
だから今年もぜひ行きたいなと思っていたのだ。
今年最後のユニフォーム配布の試合が近づいたある日、
会社の近くのチケットショップをのぞくと
ネット裏のすごく良い席が出ていた。
しかし。1枚、1万5000円。
さあ、どうしよう。
しかし、シーズンシートである。スターシートである。
そして2人で、3万円である。
そのとき、この本の記述が浮かんできた。
- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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「父が死んだ直後は、これで思いっきり腰を据えて仕事が出来ると思った。
そうはいかなかった。
(中略)
巨人ファンの父だった。
あたしは野球なんかに興味はなかった。
ところが、八年前、父のためにせっせと熊本に帰るうちに、
父がいちばんあたしにしてほしいのは、
一緒に野球の試合をテレビで見ることだと気がついた。
そしたら、
父がどれだけ根っからの巨人ファンか、ようくわかった。」
じゃあ。行こうか。
一緒に行けなくなってからじゃ、遅いのだ。
時間だけは取り返しがつかない。
なんでも先送りの、テキトーな性格の私だけれど
こうしてせっせと巨人戦をみに、
父と東京ドームへでかけていくのである。