「ふつう」のおじいちゃん
ある年の母の日。
実家近くで外出していた私の前を、
小学生の男の子と幼稚園くらいの女の子が手をつないで歩いていました。
男の子の手には透明のセロファンにくるまれた、1本の赤いカーネーション。
どうやら、母の日の贈り物を兄妹で買いに行った帰りのようです。
ゆっくり歩いているので、会話がよく聞こえます。
カーネーションを贈る相手の話をしているよう。
妹「おにいちゃん、お母さん好き?」
兄「大好きだよ」
妹「おにいちゃん、お父さん好き?」
兄「大好きだよ」
妹「じゃあ、おじいちゃんは?」
沈黙。
兄「ふつう」
世の中には孫に絶大に愛されているおじいちゃんも一杯いるでしょうから
たまたまこの家はそこまで親密じゃなかった、というだけだと思いますが。
男の子の一瞬の逡巡と、
「ふつう」という微妙な答えが大変受けました。