さよなら、もんさん くるねこ愚連隊/長女の旅立ち

くるねこ 9

くるねこ 9

私が初めてネットで情報発信したのは
くるねこ」のレビュー記事だった。
本の通販ストア - 本、雑誌の通販ならhonto

それまでネットの情報は受け取るだけだと思い込んでいたが
くるねこ」があんまり面白く、感じるところ大だったので
何か書かずにはいられなかった。

その頃まだ「くるねこ」はブログ記事から書籍化されたばかりで
アニメ化までされるとは思っていなかった。

ご存じのない方に蛇足ながら、
くるねこ」は商業デザイナーのくるねこ大和氏が
共に暮らす5匹の猫達(くるねこ愚連隊)と、
そこに時折加わる、里子に出すまで面倒みる子猫たちとの日々を描いた
ブログ発の漫画だ。

1人暮らしを始めたばかりの頃一緒に暮らしていた「にゃさん」という猫
(ブログが書き始められた時には既に死んでしまっていたので回想として登場)、
ペットショップで何気に見ていて、つい引き取ることになってしまった
オッド・アイ(金目銀目)のもんさんの2匹との生活が話のスタートであった。

そこに思いがけず面倒見ることになった猫たち
(「ポ子」「トメ」以上女子、「ぼん」「胡ぼん」男子)が増え
5匹の大所帯となってからの、猫たちとの面白いエピソードが
さえた筆遣い(というか、Mac遣い)で漫画化され
毎日の更新を楽しみに読んでいた。

時に子供の頃飼っていた猫や家族のエピソードも加わり
笑える話、ほっこりする話を中心に
作者の生活に登場しては去っていった祖母や猫達との様々なやりとりが
心に沁みた情景になって語られる、秀逸な猫まんがなのだ。

作者の猫たち(自分の飼い猫だけではない)に対する
深い愛情と思いやりにあふれながらも、
ダダ漏れの自己愛の投影とは一線を画した「作品」なのである。

そのくるねこ一家の長女、もんさんが4月8日に旅立った。
17歳だから、天寿を全うしたのだろう。

このところ具合が悪い様子が時々綴られていたので心配していたが
とうとう、最強の長女は不在になってしまった。

もんさんはいつも美輪明宏に擬せられて登場し
そのわがままで高飛車な言動が読む者を笑わせてくれた。
私はもんさんが大好きだった。

猫が14、15歳位になってくると、
飼い主はいつか来る別れを意識せずには暮らせない。
来ないことを切に祈りながらも、その日は必ず来る。

色々な猫がくるねこ氏の生活に登場しては去っていく。
そのことはとてもつらい。
でもくるねこ氏のもとにやってきた猫達は皆幸せ者だと思うのだ。

もんさんはお骨になってバラに包まれて眠っているそうである。
同居人のポッちゃんは
もんさんが病院通いに使っていたキャリーに入ったまま数日出て来ず、
ようやく出てきたと思ったら、もんさん愛用の足用ほかほかカーペットを
使うことにしたそうだ。今日のポッちゃん - くるねこ大和

猫達の関係性にも、泣けてくる。